「人は信じるように行動し、その様に行動することで世界を経験する」
私たちが世界をどう見るかが、私たちが経験すること…
これはまた、私たちの選択と行動が、世界を形作ることでもある。
何を選ぶかは可能性であり、何かを確かなものにする…
そこには、破壊と創造の力がある…。
次々と変化し、世界は展開していく…
その建設的創造を信じチャレンジする。
それは、歴史の最前線で、この世界と自身の可能性を探り行動し続けることである。
その私たちの肉体は、常に入れ替わっている。
それは、変化の化学、世界と自分自身を体験し科学すること…
常に燃え続け、その熱と電磁波は世界へと放射され、この世界と響き合っている。
それはまた命そのものであり、内側も、世界もその写しであるということ…
その何ものかは、語り感じ動き続ける。
内なる謎であり、大いなる恵み大いなる熱情の精神、この宇宙万物という存在の本性…、そこに満々とたたえられるは世界の謎…
無空から無限にも及ぶ知性と英知の原理もそこにある…
それは、今とここという時空にあふれ出る泉…
その命の純水は、あらゆる自然界万物そのもの…。
それこそが、永遠の創造劇を織り成しながら在る私たちの本質!
その私たちの目の前の時空 には、人智を超えた静寂と嵐が渦巻いている。
深遠な真理の世界が……、この真理の大海原は、謎に満ち満ちた命そのもの…
この真理への私たちの問いかけは、愚かで無意味な行ないなのかもしれない!
そして、このことをこそ私たちは、自覚しなければならない。
対話 その7/9
--- 対話の要約 ---
統治の神々と聖書 --- 誘惑役の蛇
--- 創世の起源は太古に始まった ---
錬金術師と地上の楽園 ---
錬金術は何をもたらしたのか? ---
カトリック的医療 --- 蛇のシンボルは様々な民族に行き渡っていた
--- 錬金術の謎と秘密 ---
錬金術と現代化学 --- 太古に始まった錬金術 ---
錬金術の本当とうそ ---
卑金属の変容 --- ファウストと長寿の秘薬 ---
リベル・ムートゥス ---
二コラ・フラメルと彼の物語 --- フィレ・ダリアン
--- 錬金術書を記した人たちの闇 ---
宇宙的なマテリア再構築への課題 ---
錬金術の偉大な謎は生命界の源に答えるのか? ---
バシリオ・ヴァレンティノとアンチモン --- ライモンド・ルッロの伝説
--- イタリアのヘルメス学派の独自性は古代の伝説や神話の探求にある
--- ジュリアーノ派の探求は科学的な物質の探求とは異なる
--- ライモンド・ルッロとアルス・マグナ ---
動物的人間から聖なる人への変容 ---
賢者の石と人間精神の魔術的進化の秘密 --- 不信は傲慢の裏返し --- 古代のイタリア錬金術師の錬金術は本当は何を思考していたのか
--- フィラレーテは金の製造には思慮深さが必要だと言っている
--- カトリックの医療は実際のヘルメス医療となったのか?
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科学者
私は今回信じる様になりました…
それはサトゥルヌス神は感覚や情緒を共にするためにやって来るのであり、私たちの会話を邪魔するわけではないと…。
今日は日曜日、太陽の日、キリスト教的には…
ジュリアーノ
キリスト教で、それは支配の神々 、神さまの日常、全ての物事の主 ( ぬし ) 。
全能のエホバの?最高神ユピテルの?森の神パンの?その休日の日常…。
それは、創造主への労働、その更なる献身の必要がないこと、6日間働き7日目に休息したということ。
聖書はこの様に言っている…
ヘブライ人たちは広大無辺のそのローマ文明へと放り出された…。
私たちには、それが愚かな崇高さという創造の世界かもしれない、この何かを目撃し生きているのかもしれないとは気づかず、気前よく善を与えられた状態なのかもしれない…
言い換えれば、神聖というものを見誤っているのかも…。
確かに、それは批評の自由かもしれない、私が何事かを言うことを自分に認めている全能の創造者、老人・髭面・いっぱいの経験…
人はよりよい何事かを創り出せるかもしれない…。
これは、人というものを創り出した 、王や現実的な未熟な神など、そして人は忘れた…
つまりあらかじめ考慮することもなく、その樹木を世話し育てて行く必要もなかった…
そしてこれは危険なリンゴの木という重荷、誰もが知るその木…
つまり人は、イヴが見たヘビという何かを創る必要はなかった…、その辺の市場でむだばなしが始まった。
科学者
ということは、私たちがその蛇だと?、そしてヘルメスの医術は今も休眠休息してると?
あなた方の理解では、ジュリアーノ先生、それについて私が言ってることは最初から真実にはほど遠く、これを本当に知るということはこの様に隠されているものを磨き出して清め、その場でその本体本質のエッセンスをつかみ取る、要するにそこに絡まる怪しげなものからすぐさま逃げ去ることだと…。
私が目標とするその領域は、ちょっと労力のいることで、それはあなた方の様に、人々がそれを理解し習得するよう努め続けること…
様々な要素として知りえた教訓を明らかにすること…
このヘルメスの教え は、私にはそのほとんどが古代アラブ・フェニキア(*訳注* 地中海沿岸のラテン諸国)に立ち現れた何かで、皆が知りたいと望むも、誰ひとり直面したことのない何事かの様にも思えます。
あなた方が私に言っているのは科学 という何かですが、きちんと整理された方法ではなく、魔術的ヘルメティズムの様々な要素として教えられていて、分析から始まり最終的には統合されるもの…。
というわけで私は今、ヘルメスの医術 の課題で足ぶみしていて、その余談の数々にぽかんとしている…
そこには、創造への批評的な何かが持ち込まれている…
つまりそこでは蛇がこの医術と共謀して何事かを企んでもいる…
ジュリアーノ
あなた方の意見は間違っています。
今朝は休みの日なので、あなた方は浮かれてしまい、創世 への私のちょっとした批評的な考察を文字通りな感じで受け取ってられる…。
創世記の最初はヘブライ(*訳注* ユダヤ)にあります…
それは、エジプトやカルデアと関係があります。
(*訳注* カルデア:古代バビロニアの最古文明、現在のイラン・イラク・トルコ辺り、大まかに言って西洋文明の源)
全ての錬金術師たち 、イタリアの・諸外国また全世界の彼らは、ちょっとばかりその永遠なる地上の楽園を見ようと足踏み状態にある…
それを創造した者はうまくやったのかそうでなかったのか…、ますます強固にその木へと、その疑念の多くがイヴとアダムへと忍び寄り、その蛇は人類をそそのかしいったい何を選択させようとしているのか:…
しかしなぜあなた方はそこで何もしないのか、つまり(*訳注* 知恵の果実・リンゴを)食べないのか?…
錬金術は現代化学の崇敬に値する母であるだけでなく 、時にローマ建国伝説の兄弟たちロムルスとレムスの母レア・シルヴィアの様なことにもなった…
(*訳注* ここでは、レア・シルビアを錬金術に例え現代化学の母体となった事を暗示している、同時に有象無象のロムルスとレムス伝説も…、これには諸説があり確かではないが、シルヴィアは、軍神マルスとの間に双子の兄弟ロムルスとレムスを産み、兄弟たちは、複雑に絡み合う運命によって、ローマ建国の祖となっていったというもの--参照 )
しかしまあそれは確かなこととして語りえることではなく馬鹿げたもの…
その錬金術は科学として姿を現そうとしていた…
何かが前進しようと模索していた、全ての古臭い鉄を金の延べ棒へと変化させるため、全てのキリスト教徒たちを豊かにし喜ばせる為に…
その金は、どんな宗教にもなかった異端とも思える程のものとして立ち現れた!
そしてその錬金術の存在は、カトリック的医療 の洗礼を受け 、このカトリック的 な普遍的感覚が加わり、神聖ローマ教会に近いものとして広がって行った…
そこには親しみもあったが、複雑に絡み合った誤解もまた存在していた…
色んな継ぎはぎによってそれは提供されていたのです。
というわけで、全てが現在一般化されている様な分別を持つ洗練されたものではなかった;…
その精神の率直さにおいては、この教えの言葉がどこか謎めいていてどちらの意味にも解釈でき疑念を持たれていたからで、そこには、風刺や冗談、機知やウイットの感覚があった…。
あるいは思い出される聖人たち、例えばピーコ・デッラ・ミランドラは、彼らが(*訳注* 賢者の)”石”の解釈を、文字通りの”石” として哲学的に解釈しなければならないのではなかったということ…。
(*訳注* ピーコ・デッラ・ミランドラ 1463-1494 は、イタリアルネッサンス期の哲学者・人文学者で、人間の「尊厳」を主張したとされるが、その語「尊厳」には「序列」の意味もあったらしい。
ともあれ、彼にとって人間とは、何にでもなれる変幻自在のカメレオンごときのものであった。 Wikipediaより)
科学者
おもしろい!
ジュリアーノ
ですから、私は言ってました…
多くの錬金術師が、そのテーマについて聖書的シンボルを何世紀にもわたって提供している、と…
どんなパン(*訳注* ここでは、魂の糧 ( かて ) としてのパン)も、パンと呼ばれなければならないわけではない、と。
それを本当に知るということは、ですから全く誰しもが自然に知りえることではなかった…
今日あなた方が探求し真実を明らかにする様に、恐れや不安なく手がかりをさぐり、ごたごたにも巻き込まれず痛い目も見ないというものではなかったのです。
あなた方が何を見て話しているのかは、明瞭で明らかなこと、田園の人々が歌う清らかな泉の水なのです。
もし私が誰も知らないその何かをあなた方に言わなければならないとするなら、率直にこう言うでしょう…
それは、育ての親の腕の中の乳飲み子で、そこで人々は理解する、と…。
蛇は、かくの如くイヴ婦人にささやき続けているということ…
それはそっと這 ( は ) い上がる何かで、人にふさわしいものではない…
シンボルとしては、聖書の動物学としてのみである。
シンボルとしてはそれで充分で、これが良識である…
私に許される言動としては、こういうことだと思う…。
古代エジプトからその北の人々のもやもやとした歴史へと、その蛇はどこにでも現れた…
ナイル川沿いの多くの神々は、何らかの蛇やそれに類似するものを有していた:…
セラーピスは、医術の神で古代ローマのパンテオンに見受けられ、その体には蛇が絡みついていた…。
ある蛇は、樹木に巻き付きその口元に奇跡の葉を運ぼうとしている…
それはアンドロゲオス(*訳注* アンドロゲオスは、ギリシア神話、クレタ島のミノス王の息子)に行き着く。
その蛇はしっぽを口にくわえた…
その解釈は、私たちの時代の12の月・時のサイクルとなった…
それは世界を新たにし続けていると言えるかもしれない…。
古代エジプトの豊穣の女神イシスの髪飾りには蛇が使われている。
ヘラクレスは幼いころ二匹の大きな蛇を絞め殺す。
古代エジプト王家の王冠には蛇が本当にある。
ポンペイの家々の壁には、蛇のフレスコ画が豊かに描かれている。
インドやセイロン(*訳注* 現スリランカ)にも、そして、東洋全域でそれが蛇でない時には、羽のあるドラゴンになっている。
神話において、ポンペイそれ以北の蛇は、冷涼な気候と相まってお望み通りにはなっていないが、人々は知りえた知識で何かを伝えようとあれこれの宗教的象徴像を想像している…
それは、カオスに始まり、蛇は宇宙的なものにまでなっていた…
それはまた、まだ創造主が、最初の人間のあばら骨からイヴを形創ると決める以前のこと。
(*訳注* 創世記説:アダムの肋骨から神がイブを創ったとする説/ 人には爬虫類のヘビなどの遺伝子も入っているということか)
この様に想像されたその楽園 、地上に満ちたのはバナナや砂糖まみれの果実、山盛りパルメザンチーズ入りのマカロニ料理…
そんな何かが、天から降って来ていて、フレッシュバターがいっぱい、ボロネーズソースも沢山…
それは、アダムとイヴにとっては全く奇妙なことではなく、一日八時間働かなければ、人々はその命であれこれと考え何かをより良くすることはできなかっただろうし、その言葉という授かり物で途方に暮れることもなかった…。
錬金術師たちは、この得られた何にも増して素晴らしいものにさらに磨きをかけようと、シンボル的な寓話全体にその巧みな説明を役立てた…
その方法が、価値のない卑金属を純金に変えることだったのです…。
勇気ある彼らは人類を豊かにしようとしているのです!
さらに考えている処方箋、それは全くシンプルな贈り物で喜びの炎を燃やすこと…
コントロールされた時間内で2キログラムの金を生じたなら、その貴金属は陶器よりもっと一般的なものになり、金の皿いっぱいの豆料理が買えるだろうということ…
これは単に方便シンボルとしてであり、誰もがそのやり方で同じように作れること…。
つまりそれを象徴しているのです!
これは言葉の当てっこゲーム・なぞなぞ、運のいいたまたまの当たりくじなんです!…
科学者
私もこの種の本を読みましたが、全く理解できませんでした。
もしあなた方が言う様に、これらの錬金術師たちが、あえてその目的を明らかにせず、またそれらが宗教的衣をまとって提供されることなく何の疑念もなくそれを書いているのなら、人は知ることができるのか…
結局人々は何を明らかにし達成したのか?
あなた方は何年もヘルメティズムや魔術に時間を割き、その秘密を知ることができると疑っていない。
確かに錬金術的記述の多くの事柄は記録なき時代からビザンチン(*訳注* 東ローマ帝国:ギリシア・小アジア・シリア・エジプトあたり)そしてヨーロッパへと変遷していったが、そこには明らかなイデアは何ひとつ存在しない、何ひとつも…
それは、たわごとのでまかせ、巧妙で不自然、読者にとっては何の意味もない奇妙で不思議な言葉でいっぱい…。
あなた方はピーコ・デッラ・ミランドラを引用しました;…
しかし、聖トーマス・アキナス(*訳注* 1225-1274 中世イタリアの神学者・哲学者)は普遍存在に言及していますが、錬金術には触れていなかったのでは?
ですから、著作家で知識人であった彼が扱っていた課題には、彼が信ずる真実、隠された錬金術的なシンボルもあったはず…。
あなた方は注意深く見ています、ジュリアーノさん、私はこうした著作家たちには言及していませんし、彼らが本当に見ていた大部分は隠れていて、色んな多くの評価がそこにはあったに違いない…
言い換えれば、評価された著述家たちには、その時代に垣間見たものや錬金術的な多くの色んな傾向の会話があり、実際に評価され得る議論もあったでしょう…。
錬金術から現代化学へと至った何かを想像することはやさしい…
それは、錬金術師たちが装置に着火しその実体を抽出した時代です…。
そんな探求をする人の道のりは長く、密林から正に目的の地へと到達することをあらかじめ予見することはできないし、その長い旅路でその人を魅了する優雅な女性を見つけなければならず、それに邁進しそんな喜びの目的のために献身する…
つまりそれは、疲弊し難儀をすることに等しい…。
その化学は生まれなければならなかった、そして現代のこの様な素晴らしいものへと前進した…。
しかし要するに、その旅人はその広大な密林の長い旅路を終えることなく、最終目的地へと到達できなかったかもしれない!
そんなこんなで、あなた方が言っているのは、そこに立ち現れる元となる理想、その何かが錬金術師たちが造り上げた錬金術だということですね?
ジュリアーノ
何かをあなた方が前置きした時、私はどう答えるのか…
その事実のみについて、私がその課題に多くの時間を割いて何を研究し、確か に理解した事が何で、その錬金術師たちが要するにどんなことを理解し何を示したかったのか?…
それは最も難しいことで、どれ程をあなた方がイメージできるのか、そしてそれは、どれ程普通にその事を人が信じるかということです。
話しを聞いて知る、人間たちに何か最も造詣深いものが行き渡る、その何か、それが錬金術であり、祖先…
それこそが現代化学の母 、それ以外ではない…
人が自然に笑う様になり「そうだ」と思う…
人々がその何かを評価判断し紋切り型に繰り返す…
放たれたそれらの何か、それを人々は知るが、全てには及ぶべくもない…
そしてそれらは賢人たちへと向かう。
賢人にとどまるその見方、それこそ私が百回言ったこと、それが錬金術で化学として一般化したもの・何世紀もかかったこと…
そしてこれ、そこに至ってひとりの子孫が生まれた…
それが最も巧み博識なる何か、つまりそれが現実としての20世紀…。
そこに立ち現れた時代、そこには前に述べた鉄から変化し溶鉱炉から流れ出た錬金術的な純金があった…
それは全てのキリスト教世界から受け取った手紙であった…
なぜなら、キリストやその弟子たちは、正直な人たちやわずかなお金さえない人たちの大きな集団となり、そのクリスチャンたち・ヘブライ人たちは金を求めたからで、それは生きていく上での好ましい喜びまた便利さの化身だったからです。
それは、宗教・聖務者・修道僧たちでありそれが事の始まり、彼らはその釣り針に食いついた、つまりは、彼らのつらい労働や苦しみを正当化するもの、それを求めた…
それがきっかけとなり、クリスチャンたちは耐えられない程の強制労働刑で武装しトルコ人たちに相対した…
言い換えればそれは、教会のために必要な方法を提供する為で、カトリック的宗教の巨大化へと向かうのです。
錬金術の歴史を理解する為には、ペラギウス(*訳注* 古代ブリタニアの神学者)のある本を開けば十分ですし、聖ジョバンニ・クリストーモ、エリオドーロ、トラチア(*訳注*
バルカン半島南東地域)の司教、我らがマルシーリオ・フィチーノ(注16) 、聖トーマス・アキナス、アルベルト・イル・グランデ 彼はドメニコ修道僧でもあった、バジリオ・ヴァレンティノ ベネデット修道士、彼らは皆錬金術について何かを語った…。
それは、本当にどこか噓っぽく、また信用のおけるミステリアスなこの科学だった …、それはつまるところヘルメス・トリスメギストスに、モーゼに・ヘブライのマリアに行き着く…、あのエジプトに捕らわれた者たち、そんなやつらが師と仰ぐ者と言えただろうか…、その様な苦心がいかに紡ぎ出されたと言うのか?
という訳で、エジプト人たちは、モーゼ以前にその様な変容の科学を知っていた;…
多分それは無形の遺産としてアトランティス(*訳注*プラトンが想定した架空の島)から彼らにもたらされた…
それはあの蛇からもたらされたもの・地上の楽園そんな領域からの学び、その何かイヴへのささやきだった…
それはアダムにも永遠なる父同様の力を、ということだったのかもしれない…
人はそのリンゴを食べるに違いない、それですべての悪いものが人からあふれ出て来る…
さらに言えば、その罪をあがなう人たちが訪れその渇きから解放しようと試みる…
すなわちそれは、先祖代々からの悪癖や悪徳また欠陥からの解放…。
今それら何かが、錬金術の手紙としてやって来て、それに火がついた…
人の口元から息が吹きかけられ、そしてふいごによって炎は大きく高く燃え上がる…
その試練のるつぼは、必要とされる金を産み出すその種(*訳注* 原因・大元の始まり)を、様々な金属から創造するに違いない。
誰ひとり変容に成功することなく、実験の炎は激しく高まる…
テストされ分析され、抽出され書き残され、その元々のオリジンは化学となった。
一方の偉大なマエストロたちの本物の錬金術は、それ以前にも増してミステリアスなものとなった…
それは何と不可解な不死鳥であることか…。
時はその頃、我らがピーコ・デッラ・ミランドラは記 ( しる ) している…、それは錬金術についての優れた情報であった:…
理髪師(*訳注* この中世では外科医も兼ねていた)・薬草商・穀物商たちは皆、それについて語り、錬金術の秘密を知っていた…
普通、彼らはそれを口外しなかった…。
その秘密の粉末薬に映し出されるもの、それが賢者の石であり、永遠なる命の秘薬 で、彼らのほんの一握りが親方さま…、その多くは表にも出ず、誰にもそれ以上知られることなく、よく守られていたのでした…。
(注16 Wikipedia より )マルシーリオ・フィチーノ:1433-1499 は、イタリアのスコラ派哲学者・カトリックの司祭で、イタリアの初期ルネッサンスにおける最も影響のあった博愛主義者である。
彼は占星術師であり、その時代の多くのアカデミーで新プラトン主義の再興に関係した…
そして現存していたプラトンの著作全てをラテン語へと翻訳した。
彼は、フィレンツェのアカデミーでプラトンのアカデミーを再現しようと試みた、それは、イタリアルネッサンスの影響を直接的に受けたプラトンのその趣旨を伝えるもので、ヨーロッパ哲学を前進させることになる…。
科学者
でも、私たちが話し合っていることは、問いかけ疑問です:…
考え得ることは何か、それら錬金術書の解釈、本物の錬金術師たちとその秘密など…
何を彼らが語っていたのか…
その同じ様式で理解するものか、また秘密になっていることか、ですよね?
ジュリアーノ
どの疑念のことを言いたいのですか?
私たちは信頼のもとに、明らかなことを話し合っています…
話し合っていたのは神聖な修道士、それは教会の告白場・告解窓からのもの:…
その錬金術師たちは、その何事かを知っていて、そのどれかの事 を言いたかったに違いない…
それは、何のこっちゃない沢山の作り話、彼ら自身が記したこんがらかったお話し、キリスト教徒たちが何かの奴隷になり大いなるトルコに対抗し助け合いを望んだってこと…。
疑念、最良の友よ、世界の何事か、そこにある解釈のシンボル、つまりそれらは寓話、時の偶然の様に見えるもの 、全ては同時に一致符合・共鳴する何か、それは説明し瞬間的に与えられ、そして変化変容するもの…。
考えていること、それらは類似性、それは普通の人間全てを卑金属 に比較対照すること…
彼らは多分言いたいのです…
何か素晴らしい人々を変化させる秘密?つまり気高く寛容で理想的な考えやモラル(*訳注* モラルにはふたつの意味がある:道徳と気力としての精神状態のふたつである)を持っている、と。
しかし、そうだったとすると、それに何が必要だったのか?
この高評価・表面下の貴重品置き場に閉じ込めておくことか?人類をより良く高め奇跡的才能を産み出す善良で健やかなるものやインテリジェンスを人々に与えるってことだろうか?
と言うよりも 私は何かが人の肉体的健康のために存在していると考えている …
それは、多数の病人や危険な疾患を持つ人たちにも言えることで、人々にはその治癒能力があり、それが人の弱さを変える…
問題となる箇所は、その好ましからざる影響であり、その体質/気質/熱…、食べ物の、また悪影響の部分・有害な習慣や悪癖・欠陥や不備などの影響…、金属の酸化や錆の、あるいはた易くすり減って腐食される何かのではなく、つまりそれに耐えその永遠の若さを適切に保持する作用のことだろうか?
この解釈は価値を与えるだろう…
それは伝説のファウスト、年老いた医師、彼は悪魔の秘薬を飲み再び若さを取り戻した…
才気(*訳注* イタリア語で 才気 fosforo は才能と隣 ( リン ) の二義)に満ち、女をたぶらかし、見る者を仰天させる…
彼は、高らかに歌っている…
それは彼が最初は、反対に低いうめき声の老いぼれだったってことか?
それと正に似かよった説明もあり得るが、しかしそれに満足しない問いも残り続ける…
それは、そこに筋の通った良識や分別がないということ、隠れた神秘を手にすること、医師たちに望まれていること;患者たちや薬屋たちにとっても手の届かない物事があるということ…。
解釈上の疑念がまだある:…
もし彼らが何か言いたいとすれば、そこには何らかの進展が少なくともあり、その様な制限を受けた才覚の自然な介在が在りえた:…
生薬や周到な作業・改良、あるいは本物の理知での直観的手法の完成が…
つまりそれを乗り越えた者が見る達観、それら全ての事だろうか?
ここにも聞き届けられなかったその願いやその理由が残る:ある種の用心深い戸惑いの誰ひとり明らかにしていない何かの秘密が…。
それは蔵書庫、そこには世に出たすべての錬金術書の見知らぬ様々な何かの例示が集められていた…
それについてはこれで十分だろう:…
例えればそれは、ひとりの男の全生涯に渡るページを拾い読みしても十分ではないだろうということ 。
そこにあるのは、親友よ、この様な題材の書物って事!
つまりそれは書物、それは頭をかかえた両手、また髪の毛を引っこ抜かれたあほうのはげ頭。
それが、ギリシア・ラテン・イタリア・イギリス・ドイツなど…、全ての言語には愛がある…、それは金であり人類の汲めども尽きない学識への注意を再び呼び起こした…。
そこにあるのは、それ、何かの概略図デザイン、例えば Liber Mutus リベル・ムートゥス (*訳注* Liber Mutus ラテン語:意味としては無言の書)、ジャコッベ・モンゲットのコレクション;第1巻に続く第2巻の最後にそれはある(2冊の大きな印刷本:おおよそ1700年頃の小作品に)。
もしあなた方が、それを見る機会があればちょっと見てもそれを理解できるとは全く思えないでしょう…。
…1組の男女がバルーンを作っていて、それが熱っせられ膨らんでいるのか、あるいはぶくぶく膨らんだ石鹸の泡なのか?
またそこは田舎、穀物の種がまかれ、何枚かのベッドシーツもあって、洗濯もしている、そんな光景が太陽の下 ( もと ) にくり広がっている。
いったい誰がそんな全くもって巧妙にこんがらかったものを理解できよう…
誰もその意味を理解なんかできっこないでしょ?
科学者
これは興味深い内容です!
言葉のない本とは!
私が何かを探し求めていることはご存知ですよね、その様な実際の作品を見るのは初めてです。
ジュリアーノ
それで、これは興味からだけではなく、この様な課題がそこには提供されています。
私はそのことを言いたいのですが、ある友人のことです…、二コラ・フラメルのそれらデザインやその解釈についての試み、そのお手柄のことです。
(*訳注* 二コラ・フラメル:1330-1418 パリの出版業者、カバラの秘法書を手に入れたことで、スペインを訪ね、21年かけそれを解読し奥義を得たとされる)
あなた方はこのフラメルの興味深いストーリーをご存知ですが、彼はあるヘブライ人 からその冊子を買い受けていたのだが、そこには奇妙なデザインがつづられ誰にも分からない、それはいったい何を言いたかったのか?…
(*訳注* ヘブライ人:ユダヤ人、川の向こうから来た人の意、他民族がイスラエル民族をいう名称、また古代イスラエル王国をさすこともある、イタリア語の
ebreo ユダヤ人には 高利貸し 強欲な人の意もある、イスラエル民族は古代から他国の侵入を受け 出エジプトやバビロン捕因などの逆境を経験、その絶え間ない争いの苦しみから世界へと離散した)
長年の探求と忍耐も無意味だった;当時のスペイン/イスパーニャへの旅を決意するまでは…
そしてどこか知らない教会やらそのごった煮スープに光を与えるご聖母様やらに尋ね歩き、その多くはないデザインは良く理解されて行った…。
もしあなた方が彼のストーリーやそれら特殊な消息・哲学的「石」 で満たされた何かについて知りたければ、私は1905年頃にイタリアのトリノで出版されたある本をご紹介できますが、それはそこの大学のリッツァッティ博士による著作で、彼は錬金術師ではないですが、と言うのはその偉大さを理解はしていないようなので…、ですが彼の著作は明らかであり分かりやすい…、この課題の歴史文献では本当に簡潔で良くまとまっている。
(*訳注* Rizzatti の著書 は特殊相対論と同じ年に出版されている。その内容は錬金術・電磁気学・核物理学や化学・心理学に渡る内容と言えるかもしれない)
要するに私がそれについて言えるのはふたつの言葉/意味、彼は私の友人、難問と謎の解決人、あなた方がフラメルに与える確かな人物像以前に、リッツァッティは多くを研究し、多くの解釈を試み、その何かが私を信じさせるに至った…。
フラメルと妻のペトロニッラは、パスタ(タリャテッレ・アル・ウオーボ/卵入りの平打ち麺)の製造法を思いついたのだった!
これこそぞっとするヘビ、それが表現されそう解釈された、次に大皿はそれをたらふく食べる為のもの。
そしてこのフラメルのストーリーは次のようなことになった、つまり彼らは3世紀後に正常に人の目を通して新たな解釈にと落ちついた、彼女ペトロニッラ(Petronilla)とともに…、中近東のどの町か私は知らないがそのパシャ(*訳注*
パシャ:トルコ高官の呼称)はそう信じたのだった。
その思いつきとは、哲学の「石 Pietra ペトラ」 を持つ人/その呼び名だと信じられたってこと、私はうれしいことに更なる新解釈をすることができ、それが次につながり干からびない様変化し、つまりそれを誰かが学ばない様な方法の…、真実にと納得され死ぬこと!
科学者
おお、何というどんでん返し!
ジュリアーノ
またこれは最も大雑把な変わりだね・無名の著作家たちの解釈(おおよそいつも)、あるいは私がそれら錬金術師たちに与えている解釈…。
彼らや他の著述家たち皆が言っている事は、事実としてまた彼らの事も理解されていないということ、そうではなくそれらは確かな必要性であって、表現されているそれぞれはシンプルで無垢 ( むく ) であるということ。
あなた方が、フィラレーテを読みいつも解釈しているその秘密とは、確かに知るという事ではなく、言葉としてはもう一方で何も言っていない様に見えるものだということ…。
(*訳注* フィラレーテ:17世紀英国の錬金術師・作家;ニュートンやライプニッツ、ジョン・ロック等に影響を与えたと考えられている)
そのフィレ・ダリアン Filet d'Arianne (*訳注* アリアン/アリアドネ― : の糸が織り成した物語の意)を読んでみてください、その迷宮に迷い込んだ人物たちは、テセウス(*訳注* 古代ギリシア神話の英雄)の跡をたどることになる…
彼女は再び会うためにその出口へと手をつけた…
そこには手探りの為の糸巻玉が…。
それを書いたこの著者は、その序文で記している、それは単純なこと、
全ては3つの筋書きの糸で事足りると、しかしそれは何てことのないそんな本の良い見栄えの説明の為である、と。
リプリー、アルナルド・ディ・ヴィッラノーヴァ、ピエトロ・ディ・アバーノ、イル・トレヴィザーノら (*訳注* 錬金術・医学・文学・宗教・占星術・薬学・数学・哲学などに関係する人物たち、後の現代化学やニュートン等の現代思想家たちに影響を与えたかもしれない)の優れた著作を読むと、常に同様の音楽的な響きを見ることになる。
彼らはみな異彩を放ち、誰も理解できないその事を語っている…。
その驚異的知識は、読者自らが問いかけるよう望んでいるのかもしれない…
それは、時代を革新することはなかった、がしかし、読者たちの羅針盤(*訳注* テセウスの糸のような…)となりえるものかもしれない…。
科学者
まあ実際に、この科学あるいは偽科学が私の心を占めはしなかったが、時に私もあなた方が引き合いに出した幾つかの書を読んでみたいと思いました…。
そのページを何度も読んでみると、何かの事を言っていると最初は思いましたが、読んだそれらの概念を分析し出すと、私には、その何人かの著者は非常に巧みなペテン師なのではないか、あるいはまたそれらは精神医学的診療の課題でもあると思えました…。
するとすぐに、あなた方がその事を言いだした…
もしかするとあなた方はそれに大変詳しいのかもしれないと思いました…
あなた方が言ったのは、これらは巧妙な思い違い;それを理解する事が重要であるということでした…
しかしあなた方の博識については多くを信じていますし、常にそれがどういうものかと傾聴しても来ました…
そしてそれは、これらの著述家たちをあなた方がどう考えているのか、幾多の世紀を越え人類というものが何によって満たされているのかということでした…。
あの私たちのカテリーナ・ディ・メディチ(*訳注* フランス王アンリ2世 1519-1559 の正妻)が王との結婚でフランスを訪れた時、彼女は少なからず占星術師・占い師やイタリアの錬金術師たちを従えなだれ込んでいった…
その陰鬱な時代にあって、新たな国のご婦人と彼らの新しい方法・新しい理論が浸透して行く…
そしてそれは、それ以上にもつれ紛糾して行く…
そんな哲学的言動の何かが、とある王国の人々の生活にとすでに花開いていた…。
私は忘れていない、彼が生きたあの時代、そしてそれは名高きあのミシェル・ノストラダムス・諸世紀 の著者の;またマラキ(*訳注* 旧約聖書の神の啓示を記したとされる予言者;神の使者という意味の名で特定の人物ではないとする説、またバビロンからの帰還難民のひとりとの説もある)への神の啓示と源を同じくし、歴代教皇たちに引き継がれて来たもの、それを渇望する人たちにそれは読まれ、驚愕の予言として捉えられた…
つまりそれは人がその様に期待していたということ、それがそのままむき出しになるということ…。
全てを考慮すると、あなた方が私に話すその話し方からも、またその快活な語り口調からも、私にそれは何かの錬金術として見えるが、それら全てが正しい評価を含んでいるわけでもなく、他のミステリアスな科学に関する著述家たちの意見も示されていると…。
ジュリアーノ
私たちはそれをよく理解するようにしましょう、あなた方は私がそれを考えていることは理解してらっしゃる…。
私の見解は、それらのことは人々がそう考えていたってこと…、そしてそれは事実ではないということ、あなた方はそれら全てを掘り起こしそこに光を与え美辞麗句でおしゃべりしようとされてる…。
彼ら著述家たちやそれらの著作は、この様にあぶり出され、またおっしゃるようにそんな伝説的理想として形作られている;…
しかしながら私たちは、意識的に分別し評価判断し読み解こうとしている…、何かを肯定するということは、そんな著述家がペテン師であった、あるいはその他の人は本当にその何かが人々が知らなかったかそれら以上の何かだったのか、従って今私たちの現実的市民社会において、公的に研究されていることが、それらの課題事項についての考えで人が未だ知らず迷信との間で翻弄 ( ほんろう ) されていることなのかってこと…、それがヘルメティズム、つまりそれが実験に基づく知識や学識というものではないですか?
親愛なる批評家さん、あなた方は未知なるものへと跳躍しようと、全ての言葉を考慮しわずかばかりの小銭を持って、全ての錬金術書を記 ( しる ) した人たちとの面会に参加しようとしているかもしれない…
その感じはシンプルな要素としての化学の始まり、それらは宇宙的なマテリア(*訳注* 物質、材料、内的実体)の4要素(*訳注* 心身や自然界を構成する地・水・火・風と考えられた錬金術的要素で、現代化学を産み出す原型となったもの);…
それが隠れた実質・神秘の謎という何か、それは動物界の根源なのか…
(*訳注* 真言密教の空海はこれを四大と呼び、これに空を加えて五大としたのか…、仏教では五大に識を加え六大としている…)
科学者
私はあなた方がたいそうなことを言ってのける時が怖いです。
ちょっと前にあなた方は言いました…
錬金術書は教えの丸ごとを伝えているのではなく、未来の錬金術師を準備しているのでもない、と …。
その様に理解しました。
でも今あなた方はそれが可能かもしれない と考えている…
そこでは宇宙的なマテリアの課題・分析またその再構築について、究極的な何かとしてそれとなく言っている、創造からはかけ離れています:…
そんなのは行き過ぎの無謀で、生体細胞 の創造・化学の実験室の中にあるものです…。
今私は、課題となっていること・この会話をしたいとは思いません…
というのは、それに親近感を持って話し合う準備された状態ではないし、それを口実に本道から逸れることはしません、その私たちの課題からは距離を置くということです。
そこにあるものは錬金術とは何の関係もなく、歴史の中のストーリー…
書であれ力強い奇跡として印されたものであれ、それらは、後になってその意味を私たちが理解し解釈することができる様になったもの…
その何かは、非金属が変容し金を創る為の操作として提供される必要があったということ…。
ほんの少しだけ緩んだその手綱、私はあなた方のその地平をひも解き、その詩情に熱を感じている…
そしてあなた方は、私に錬金術の偉大な謎・その可能性について話し始めた…
それは、動物界の根源(生命界の源) ・その再発見、それに答えようとしている…。
あなた方は、私が現在の大学の出であることをご存知です…
その全てが私の教育でありその為のもの、実験に次ぐ実験に基礎を置くポジティブな方法によるもので厳格です。
課題に相対し議論する…
それは、定常的なものとして出てくるもの、つまりはアニマ・スピリト・インテリジェンスへの憶測であり、様々に光り輝く恒星の様な何か、あなた方が私に告げたところの人体組織の中にあるもの…
私はその線に沿い実際の事実を明らかにするよう歩を進め、この様に知ることを求めている…
そしてこれはつまり概念として立ち現れるもので、あなた方がイメージし在り得るとする新錬金術が主張するものではない…
そしてその何かの秘密は、存在し隠れているに違いないでしょう…。
ジュリアーノ
あなた方の話を気に入らないわけではない;それが何を意味するのかではなくあなた方のその発言のトーンについて少々…。
あなた方の小さな苛立ちは、私があなた方に言った錬金術に興味を抱いているがゆえに、それを明らかにしようとさせ始める:…
確かなことは、それが貪欲な風通しの窓であるからではなく聖務をしているもので他の時には王様でもある…
何かがあなた方を推し進めている;あなた方はそのキリスト教の軍用船で武装しイスラム教の皇帝に対抗しようとしているわけではないが…。
まあ、結局あなた方は、あれこれの詮索を望んでいて、それは深く知る事であり、あなた方を運ぶ軍用船・機械装置・豊かさをもたらすもの、であるばかりか最も便利快適な保証金・保証書、ずしりとした金貨なのです。
つまりあなた方に率直に言えるのはそのこと、この目的は奥深く高貴なもの・金貨を鋳造できる能力であり、象徴としての金・最も高貴な貴金属の金…
私は、本当の錬金術師がそれを持っていた、また切望していたと信じているのではない。
もしあなた方がお望みなら、どの様にそれがあなた方の願いとして表現されるのか、私の意見を知っておいてください、すぐお示ししますが…。
そこに何があるのか…
言い伝えられて来た様々な解釈…、錬金術が創り出したその金、それは事 ( こと ) の何ひとつも理解できない人たちに立ち現れるもの;…
そしてそれに火が付き火葬される、また様々な碑金属が煮え立たされ、草木や動物たちの排泄物までもがその火葬された粉末 を得ようと煮え立たされた…
それら卑金属に何が起こるか知る必要があった…
鉛・鉄・錫 ( すず ) ・それらの発酵過程について…。
(*訳注* 発酵という言葉が使われているがここでは現代的な熱変性の過程という言葉が適切かと思う; また卑金属/貴金属にはそれぞれ、入手しやすく、空気中で酸化されやすく酸などでも変質しやすい金属、そして他方入手困難で希少価値があり空気中で酸化されにくく酸でも変質しにくい金属、というふたつの意味・またその一般的意味と化学的な両義もある)
この錬金術から冶金学(*訳注* 鉱物から金属を精錬精製したり合金を創り出す方法など)が生まれた、その無益な試みが延々と続けられた…。
例えばアンチモン (*訳注* 原子番号51、記号Sb:ラテン語の stibium、レアメタルの一種)は修道僧ヴァレンティノ によって発見されたとされたのだが;…
彼の修道院で錬金術の火が燃えていたある天気の良い日の中庭で、るつぼのある残り物をその別の場所で沸騰させていた滋養物に放り込んだところ、その残り物は修道院の豚たちに食べられてしまったが総じてそれらは丸々と太り、これはすごいと喜んだ…。
彼は修道院の煮物のスープの大鍋に少しその混ぜ物を入れようと思った、しかし修道僧たちは激しい下痢に見舞われた…
この様にその実体は豚たちには良くても、修道僧たちには逆に良くなかった…
それでアンチモナクム (*訳注* anti 逆 monacum 修道士)・アンチモニウム 、私たちの医学法典ではアンチモン となった;ヒ素の様なアンチモン 、ヒ素の様な毒性のあるアンチモン 、白い粉末たった2ミリグラムで致死量に至る…。
それが多くの場合焼けつくような潰瘍や裂傷に利用されていた。
つまりホメオパシー(*訳注* 同毒療法といわれる本来の病状と同じ症状を引き起こす薬剤で治そうとする方法で毒をもって毒を制する的な療法;現在では疑問視されている)的に最小限に薄め修道士たちの下痢や腸の処置に…。
しかし本当の錬金術師たちは、明らかに理解している…
これは何の効果もなかった…
彼らの書簡によれば、どんな化学的な原理にも実践的応用にも至らなかった、と。
科学者
やれやれです、 最初ですね、正確なご表明をあなた方の口から聞けたのは…。
それで、ライモンド・ルッロ は、あなた方にとっては最初の錬金術師、あなた方の執筆を読むとそう見受けられますが…。
(*訳注* ライモンド・ルッロ 1232頃–1315は、マヨルカ王国・パルマ・デ・マヨルカ出身の哲学者・神学者・神秘家・作家;フランシスコ会修道士;この地方カタルーニャ文学の祖とも呼ばれる;彼はまた記号計算論の先駆者とされ、特に数学者のゴットフリート・ライプニッツに影響を与えている:Wikipediaより)
さて、どこだったか思い出せません、以前イギリスの王についての記事を読んだことがありますが、ロンドンのある塔に隠遁 ( いんとん ) した後、色んな金属を金に変えた、と…。
ジュリアーノ
あなた方は信じたいと思う以上のものまで読みました。
私もパリで1742年に出版された本、著者は分かりませんが、ヘルメス哲学の歴史 を読む機会がありました。
これはその時代においては非常に取りとめのない本でした、そしてあるストーリー・ファンタジーを資料で裏付けようとするものでした。
あなた方が想像するところではモーゼを知る事・長いひげを生やした…、つまり福音伝道者の聖ヨハネたちは錬金術師だった;…
それはデモクリトス(*訳注* 前460-370 古代ギリシアの哲学者;原子論を唱えた)のヘルメスの科学哲学を学んだということ、つまりそれはペルシア錬金術で、彼はメンフィス(*訳注*
エジプトの古代都市)を訪れた、そしてセネカ(*訳注* 前4-65 古代ローマの哲学者)はこの事を引用し書き残した。
そしてそれは、ベーコン(*訳注* 1561-1626 英国の哲学者・政治家)やアルナルド・ディ・ヴィッラノーヴァ(*訳注* 13世紀の錬金術師・バレンシア生まれ・リキュールの祖とされる)へと至り錬金術を学ばせた…
それは彼らが、ルッロを彼らのマエストロとして再認識したかもしれないということ。
そしてこの無名の執筆者は何かを確立した…
それはあなた方の貨幣、12のドゥカート(*訳注* ドゥカートは、中世後期から20世紀の後半頃までヨーロッパで使用された硬貨、同時期を通じて多様な金属で作られた様々なドゥカートが存在した、国際通貨として広く受け入れられていた
Wikipediaより;またヴェネチア国で1284年に鋳造され1797年まで欧州各地で用いられた金銀貨という意味も)の重さ、あなた方が鋳造している金でライモンド・ルッロと関係がある…
それら貨幣の権利保障方法は非常に奇妙で Jesus autem transiens per medio illorum ibat (*訳注* ラテン語:イエスはそれでもその道のただ中を通って行かれた )…
それは貨幣研究家の誰ひとりも何を象徴しようとしたのか言えなかったし分からなかった…、そんな貨幣が本当に存在しているのかどうかさえも…
それは、金が造られて立ち現れ、そのマジョルカ島の哲学者によって鋳造されたってこと…。
科学者
それではルッロを今後、錬金術師として鑑定し、化学の限りないその技術のマエストロとしての対象としましょう…
その化学は、先験的様式で、人々を教え導く巧みでかつシンプルな学識の一派、多くの人たちはそれが全く理解できない…。
しかしあなた方が私に話したイタリア錬金術のマエストロたち、聖トーマス・アキナスやピーコ・デッラ・ミランドラたちは…
ジュリアーノ
親愛なる友よ、批判的でポジティブな方法に従い、あなた方は私たちの会話を進めたいと思っている…
アメリカ人の報道記者たち の様に果敢に新たな事や興味へとあなた方は挑んでいる。
あなた方の方法は平和的で科学的教育的であり、気づきというものを信じている…
迷信的なものより豊かで幅広く自由な現代文化というものに何かを見い出し、遠い時代の伝説的なもやもやした記憶の古典的知識による空想力に対抗しようともしている…
そしてそれは、読者・神学者・修道僧・司祭たちの知識の及ばなかったところであり、これが無意識的に伝説や神話また空想というものを造り上げていた…
それが、後世の人々には真実の物語として現れた何かなのだった…。
プライドの気持ちから私はあなた方にそれを言いました、初対面の時からずっと…
それが私たちイタリアのヘルメス学派 、ヘルメス神は私たちだけのものではなかったわけですが、その起源は私たちの拠り所・古代神話描写の源でもあり、またそこには神秘的なものに従わなければならない違和感もあり、その異郷的な虚偽的科学や生き生きとした人間らしい迷信・おバカな鶏を大切に養い育てる様なところがあり、人々は根拠なきその空想を探し求めることにもなる…
そしてそれらは長い夢物語と共にヘルメス哲学と入れ替わろうとする…。
あなた方は私にあなた方の大学教育がいかに素晴らしいかを主張したがるのですが、これが私の救いになりその大いなる海 に没入し俗世的歌に酔いしれる事はない…
もしかすると、ほんのちょっと私はあなた方をその点で刺激しその信じ込みやすい解けない迷路の脳みそをふらつかせていたのかもしれません…。
私たちがしている何事か、それは私たち民族の本質についてであり、私たちはひとつの批評的精神を保持し因習を打破し分析しようとしている…
その部分には神秘的で確かに無学な迷信を語る人たちの何かもあり、また明朗で科学的な確信もある…
色んな事実や現実を思う様にしようとする傾向の破壊的なあなた方の方法論はそこには存在しません。
もし私があなた方に破壊的感じを与えているのなら、それはある種ヘルメティックな伝説や錬金術師たちが虚像の様なレッテルとして描き出されたもので、私はあなた方のその理想への創造と探求・ある種の存在というものを破壊しようとしているのではないのです…
しかしそこに植え付けられたものは、それまで存在したことのないその何かを信頼させようと施された飾りつけなのです…。
科学者
要するにあなた方は、表現の自由を主張し続けているのであって、あなた方学派の基本的理想を明かす情熱からではなかった、と。
ジュリアーノ
その事をあなた方は納得しなければなりません:…
私が主張しているのは、人のせいにしないということ…
私たちは願望に基づいて空想し現実を見誤る傾向がある…
そこにはちょっと変人的でそれに夢中になってしまう何かがあり、分別や思慮を欠き不適切な神秘主義を信じてしまう様なところが…。
ヘルメティスト・魔術師・精神的力のある哲学者というものは、それに影響されてはならないし行き過ぎてはいけない;自身に対してもそれに続こうとする者も:私は何度も言っていますし書いてもいます…
それは神秘的ある種の様式を避ける為であり、そこには課題に対する科学的な調査探求が必要であり、それは信じないということではない ですよね?
科学者
私たちはそれをポジティブな経験にする為にどうすればいいのか…。
そしてあなた方は確かに話を中断させ、らんぼうな言葉を投げかけてます!
ジュリアーノ
そうですね、なぜならその形式はあなた方のもので信頼をしていないということ、おしゃべりの範囲・その語り、またそこでの真実のイメージを何かが覆い隠していて、不純物が取り除き切れていないということ…
つまりその否定するものの中に同時に受け取っているのが、その行き過ぎの神話・架空のお話しであり、また真理そのものの不思議でもある…。
そうではないですか?
それら迷信がそこに運び込まれて過度な分別・思慮となっている…。
寓話とは何なのか。
言い伝えられて来た宗教とは何か、そこに伝承されて来た慣例的なまたシンボリックな外見とは何か。
この様な記憶や他の時代の医学的な伝統等はどうなのか。
それら混合物から真実を取り出し、ありのままの真実を独立させる必要があります…
それは隠れていて俗物的な目には見えない何かなのです。
この真実を周囲から分離する為に錬金術は必要であり、それ自体を精査し私たちが生きるその時代へと一致させる…
つまりそれがあなた方が好ましいと思う錬金術師たちの物語や名高いスーパーマンの錬金術師たちの主張として持ち込まれ、私たちの周囲を満たしている…。
そのひとりがライモンド・ルッロなのです。
科学者
それは素晴らしい!
ヘルメティストにして錬金術師と今まで考えられて来た人物、偉大なる技 ( わざ ) のマエストロ!
ジュリアーノ
この巨人の為したことは、それが13世紀だとしても、見て来た様に計り知れないものである。
30歳で妻子を捨て、そして仏陀の様にその使命を始める…。
12世紀のキリスト教世界は移行しようとしていた…
それは古代ローマ文明におけるサイクロンであった。
ヘブライのエホバ神は準備され、その策略あがない人の息子と共に、ヨーロッパ人たちの怯えた精神へとそれを刻印した…
納得させたものは、この地上に存在していたより良い世界というイデア…
我々は移ろい行く生命であり、そして人類は天に見えない故郷を持っていた…
言い換えればそれは、燃え立つような地獄(*訳注* 地の国)の何かであるということ…。
その中世人が哲学していたイスラム教は、引き抜かれたその剣と共に歩を進め、イスラム教の絶対神アラーを、まだ信じていなかった人々のその祖国というものを求めていた。
そのイスラム教徒たちとキリスト教徒たちはお互いに向かい合っていた。
その地中海地域は、争いと略奪の最中にあった。
そうした人々の集まりの聖職者階級人たちはカトリック的な団結や調和の哲学についてあれこれと話し合っていた…
そしてキリスト教徒は、何か普遍的なトーンの唯一神や信頼のおける抜け目なき政治的統一体系といった義務を負わなければならなかった。
それらの宗教会議の人たちは、神への罪を基本とした見解を公にしたのだった…
それは良心や言動、信仰についてのものだった。
それで異教のイスラム教徒たちの襲来に対しようとするイタリアの沿岸地域であった。
(*訳注* ライモンド・ルッロの生まれたマヨルカ島は13世紀当時住人のほとんどがイスラム教徒で、彼はそれをキリスト教に改宗させようと様々な考え方を著した)
アヴェロエス(*訳注* 1126-98 スペインのコルドバ生まれのアラビアの哲学者・医学者・アリストテレスの注釈家)は哲学の骨組みを示し、ルッロは、その言葉そしてアラビア人(*訳注* イスラム教徒)たちの科学に精通していた。
ルッロは構想し提案する、それは十字軍と使徒の派遣、異教の国々への布教である…
彼は招集し創設し東方の言葉でその派遣の準備をしている…
そしてアルス・マグナ 大いなる技 を著した…
それは要するに、実在を解く実践的な誘いではなくその技の可能性を試す;言い換えれば信仰の真実の可能性を明らかにし探し当てる為のものである。
実際的体験の基礎・命の技 ( わざ ) 、それは頭脳の精神的主導権であり、今日とは逆で8世紀後の今、あらゆる大学の精神主義は反科学的である…。
彼の形而上学の統一性は、全てに価値を与えるものと融合された、つまりそれは実践的であり、精神の一体化であった。
ローマ教会の支配は、時代遅れの支配権の刷新を試みる、それは世界の様々な力全てに及んでいる。
そして命の営みにおいては、基本的に理性的分別が前進し、スフィンクスが備えていた様な抵抗できない力で押さえつけ犠牲を強いる恐怖支配の誤った概念から、様々な国々から芽吹いていた理想へと変化する…
教皇を長とするキリスト教的対策による支配、その理想は常に敗者の為のもの…。
ライモンド・ルッロはこの唯一神という理想を強く支持する人たちのひとりであり、彼が埋葬されてすぐ、そしてそれだけが今日においても残存している…
それは教会の精神としての何かである…
というより、時代と共に進展して行くそれらの理想・それが科学、伝統はより浄化され行き人間性は凌駕され新たな時代となる…
残されるアンチテーゼ(*訳注* 対立的命題)は死ぬことになる、それは結論としては第二の死…。
というわけで、18世紀において多くの錬金術が公開され編集された…
ルッロは時代の確かな人物として頭角を現し、そんな世相のひとりの錬金術師として金を創 ( つく ) り、理論としての知識を知らしめようとする …
それが偉大なる技 であり、彼はそれまでとは異なる意図・意味合いでそれを記 ( しる ) していた。
多分その全て以上にルッロはこの課題に言及した…
それにはリベル・エクスペリメントルム (*訳注* ラテン語:実験ノート)がある…
しかしながら彼が生きた時代の錬金術 について精査する必要がある…
人は動物から聖なる人へと変わる模索をしていた、そして宗教的哲学の歩みから物理学や心理学の探求へとそれは向かっていた、まさに秘められた意識に目覚める為に…
それは悪魔的人間の天使化であった…。
四元素は、化学ではないが一方では肉体や物質的な要素であり自然界のもの:空気・水・地・火の四元素は、霊的・精神的・心理的・肉体的存在と同等であった…
それは、私たちの4つのコルポ ・ヘルメティックな何か・私が最初の対話でお話したもの(太陽・メルクリウス・月・サトゥルヌス)…。
科学者
打倒、サトゥルヌス!
ジュリアーノ
それはロジャー・ベーコン(*訳注* 1214-1294 イギリスの哲学者・カトリックの司祭で経験知や実験観察を重視した近代科学の先駆者)が生きた時代のことであった、彼は記していた…
実験はすべての科学を形成する大元、そして同時に理論を決定するのが実験というものである 、と…。
知人のボイネット氏は、医学的な異なる見解というものを教えている…
なぜか科学としての医学は柔軟に対応するものとはなっていないし、その時々で体系やら教義というものになってしまっている、と…
彼は鋭く指摘している…
錬金術は命の原理にいかに奉仕するかを問うていた、そしてそれはミクロコズモとして人のアニマを熟考していた、命の息にはその全てが含まれていた、と…。
それゆえ私たちの以前の会話で、私はあなた方にしつこいくらいに言葉の源として2つの言葉、アニマとスピリトの意味を説明しました…。
それをよく思い出していただきたいのです…
なぜなら全ての錬金術のシンボリズムは、心に編み込まれたものであり、交差した糸・源としての言葉・同族関係・類似によって推し計られるものだからです。
更にそれは、私たち社会の文化として全分野の知識として広がった、それらは錬金術の言葉としてはほとんど誰も知らないシンボリックなサイン、それを現代教育として理解するには良く準備された状態ではないのです。
錬金術を明らかにするにはふたつの方法がある:…
一般的金属をわずかばかりの価値の金に変化させる、そして俗っぽくびくびくした人のアニマ(*訳注* 魂や精神)を変容させ、神聖なスピリト (息)と入れ替えること。
それは、価値ある言葉・創造を口にするということであり、それが確かに現実をもたらす…
それが、グノーシス派の概念です。
(*訳注* グノーシス派:キリスト教の主知主義の一派の説く最高完全智・神智/これは空海の説く身口意一致・言葉と行為と心を調和させることと同等概念だろうか?)
それを自らの内に再発見することが、秘密として隠されていた賢者の石 の魔術的展開であり、そして秘められた そのスピリト・魂・直観が人というものである…。
科学者
ということは、これは秘密だったのか?
隠れた真実とその特質・あるいはフィクションとしてのその秘密が、ほとんどの大衆の背後に重要なものとして与えられ、背後の軽信・一般の目に巧妙に策略として仕組まれているというのか?
もしそれがこの様に吟味されるなら、現在の正義へとつながるペテンと判断され、そんなもの全てが手柄を得たと知ること・その「石 」であり、それを何と理解すればいいのか…。
またその様な批評の古典的宗教のそこには非常な疑いがある…、それらが私たちの現在であり、例えばあなた方は何を夢見ているのか、言い換えて、人々はどんな隠された意味をそこに見ているのか、哲学的また科学的なそれらの死んだ宗教的慣習、発明品として可能であったその慣習という何かは、宗教劇のコメディーであって、観衆に向けられたイメージとして影響しているものなのか…。
ジュリアーノ
この課題に関するそれぞれの会話は、空虚なものではないですよ、大切な批評家さん;…
私も明らかになり得る多くのことが嘘で不確かだと考えていますし、それは事実だと思います…
宗教哲学のある種の探求や古くさい儀式もそう…。
私は自分の見解の正しい部分を再確認しているのであって、それは推論であり、納得しようと努めているということ。
もしもその事であれこれとお話ししているのなら、哲学あるいは科学の教えるところを提供しようとしているのではないのです。
私が言っていることは考えであって、つまりなぜそう考えていて別の様式ではないのか、なんです…。
私の言葉には何の隠し事も非公開で技術的な資格を要する様な秘密もありません。
科学は皆の糧 ( かて ) である;…
私があなた方に百回繰り返している事、基本的財というものはその様ではなく、言い換えればそれ以外でも明らかになること…
もし私たちが何も発明せず最もふさわしい方法があり得るとすれば、それが科学的なまた哲学的な秘密で、それこそが存在し得るもの 、疑いひとつないということ…。
そこで、鍵となるもの(そしてこれが古い時代の司祭たちが持つべき明らかにするための隠された真実、ひとつの鍵 )が、聖ペテロ の手中に残された、その名前でその言葉の源を良く見ることができるかもしれない…ペテロ (*訳注* Pietro ペテロには石 という意味がある)に似ている、と…。
もしもそれをフィラレーテの著書の前置き の中の機知に富んだ言葉で言えるとするなら、それはシンボルとしてペトラ/石 だと言え、ラテン語のペトルス/岩や石 、つまり良く見るとは言ってもそれは2つの鍵(ペトロが2つ? ひとつじゃ充分じゃないのか?)で違いがある…
ひとつは違うし他方も当てはまらない;…
私の考えに引っ掛かるところでは、ペトラは古代ギリシアの言葉でもあり、ラテン語の様な、石ころや岩壁 だと言いたい…
更にそれは、熟練工としての人(*訳注* 日本語的に言えば職人と言えるかもしれない)・博学な人を表現していて、それはちっぽけな人知・砂粒、そのペトラはアラブの街でもあった…。
(*訳注* ひとつの・だったかもしれない例として参照:ペトラ )
そしてそのペトラは、そこの住民たちのその時代の哲学から始まり語り継がれていった;その哲学は古代アラブのものでもあった…。
科学者
本当にそれがlapis philosophorum 哲学者の石 として書かれたのか ― lapis 石 …
(*訳注* lapis philosophorum 中世の錬金術において卑金属を金に変換する能力を持つと信じられた想像上の石あるいは物質。これはまた不老長寿の薬ともみなされ、必死に探し求められた。ここから転じて、現代では人間の精神的新生を可能にするような原理あるいは概念をさすことがある。 百科事典より)
ジュリアーノ
その lapis ラピス という呼び名の何かはほんのわずかな明敏な頭脳の錬金術師たちだけが記していた…
それは言葉の上だけで理解されていたもので、技 ( わざ ) のマエストロが理解していたものではないのです:ラピス はペトラ ではない…。
ラピス はむき出しの岩壁、雑草のない石ころや岩、丸裸の草木なき岩山である。
ラピルス は本物の岩であること、それは川岸の砂利;ヴェスヴィオの火山はラピルス(火山礫)を吐き出しポンペイを埋め尽くした(*訳注* 参照:ベスビオス山噴火CG );それはラピデ(*訳注* 石のふた)でありすべすべした大理石でも…。
対してペトラは、ケトラ のケが唇音 ( しんおん ) 化しペトラとなったもの…
ブロッツィ博士のラテン語源学によれば、それはフェストという通路のことで、それには2種類の岩があり、ひとつは自然の・もうひとつは手作業で作られたもの ;…
つまりもし私が一度大事業を為す偉人になることが許されたなら、その最高の知恵をそこにほどこし、敬意を持って言うでしょう…
その錬金術の中味が何で、ペトラ が何を意味し手作業 に関係しているものが本当は何なのか、つまり手作業で何が作られたのかを…。
ペトルスやペトラはこの点で何かを創造していた…
それは宮殿であり最初の鍵、そこからパラダイスが開く…。
Quis vetat ridendo dicere verum ?(*訳注* ラテン語:真実を言えば誰も笑いを 止められないか ?)。
それは不思議なことではなかった…
二コラ・フラメルの妻はペトロニッラと呼ばれた!
この女性、復活祭の機会にニョッキやラザーニャを作ろうとしていた…
そして薄くのばしタリャテッレを蛇のような形にして寝かせた…
またその夫は、彼女が働くのを観察していた…
その卵入りの小麦粉・彼女の手元、折り返しては体を揺り動かし彼女は疲れていた…
その様子を羊皮紙に描き、そのスペインのアラブ人の手つきに、彼はアルキメデスの様に叫んだ :そうか、全てわかったぞ。
科学者
壮大なまでのもつれ具合!
ちょっと待ってください…
疑念が無い様にしていただきたいのですが、いったい何が、その「石」を構成し、そのスパゲティーソースあるいは古代ローマの平打ち麺に入り込んでいるのか!
言葉のもつれ目は何を言い、あるいは言っていないのか!
私たちが常に繰り返しているのは何で、その疑問はずっと存在し続け古くから聖職者たちが考え続けていること、彼らにも理解できずその考えは決して発言されたことがなく、歴史的文献も不足、それが明されたこと…、私たちにはその事が示されているとでも…。
ジュリアーノ
今まで織り成されて来た私たちの会話は、あなた方が冷笑的という点で変わっていません、理由は少々冷酷な評価で私に対しているという点です。
私は自画自賛することはできないし、この私たちのヘルメティズムの話しを始めるにあたりそれは成功とはいえない…、それから多くの議論で固執し普通の考え方からあなた方は遠ざかりたいと思っているのでもない…。
そうした物事は、知らないという事でも疑うという事でもない。
それは正しさであり科学、あなた方がこの様に疑う事でもない:…
第一にそれは判断を下すことではなく肯定することでもない、つまり決定することではない;…
それはひとつではないしその他でもなくその両方でもない、これは疑念として存在しているその何かに割り込んでくる可能性があるもの。
それは多くの在るがままであり、疑念がある時にも、目線を変える純粋な理性・分別としてシンプルにそこにあるものなのです!
私たちは見かけとは異なる何かの中にあってそれを探求し、古代宗教の謎や秘密として存在していたその何かを信じようとしているが、それらは聖職者たちが大事に守ってきたものと言えるのか…?
そして私たちには根拠があるわけではなく、この何かを構成する秘密を考えることは始まりであり、大衆のほとんどには見えない信頼というものを手にすること、人々の為になると言えるのか…?それは何とも言えないし証明もできない、文書で示すこともできない、それはひっそりとこの様にまたあの様にある…、一方で私たちは優れた全理性を持って開拓された人類のその観察眼を呼び覚まし、この基本的なる知るという行為によって、聖職者たちや人々が持っていたに違いない資質や可能性へと着手することができる…。
非常に古い宗教分裂の時代、その様な始まりのミステリーがその時代での何かであり、それはその状態下では命の営みとしての概念であり、君主国における基礎としての神性政治、現代の様なものではなく、その権利は命令に属するものであり、選ばれた階級の人向けであった;…
子豚たちの前に真珠を投げ捨てることではなかったのです。
それは見張り役の犬 、私たちの祖先たち古代ローマ人、その犬は確かな感覚概念として理解されていた:有象無象の衆愚からそれを守る必要がある ということ…。
尊重がなく無礼そんな烏合 の衆から… 、そこにあるのは、圧制であり強欲で雑多な思想や感情の入り混じり、その多くは押しつぶす力であり、集団的空気の様に漂っているもの…。
もしあなた方が昔の人たちの宗教的絵画が象徴するものを観察してみると、そこに現れるものは、最終的には疑念でもあるが、何らかの思想の理念も見い出すだろう、そこには古い宗教感の神話、確かではない教訓的な作り話がある…。
全ての始まりは古代ギリシア・小アジアやシチリアなどのマグナグレーチア(*訳注* ラテン語:Magna Graecia は、古代ギリシア人が植民した南イタリアおよびシチリア島一帯を指す名前)…、私が言っているのはほんの一部のことで、エジプトのテーベやメンフィスに行くことを望んではいなかった人たちのこと…、彼らはエジプトの神官たちとも話し合っていた…。
彼ら神官たちは品位ある手厚いもてなしを受けていた;一方でその神官たちもそこに訪れた人たちとして深く理解され、彼らも根付いて行った…、そんな彼らのムーブメントの言動では:素晴らしい人たち…、あなた方はそれを幼い神々と心得ている、小さな神々、一方で私たちはもっと偉大なもの・この宇宙のことであると捉え、彼らの為す温かさや冷静さに魅了されわずかながらも注意をひかれ何らかの印象に魅了されていたのかもしれない…、彼らのその鼻先の些細な刺激のくしゃみは世界を揺るがすかもしれない!
科学者
私もその印象は持っていました…
その時代のエジプト人たちは多くを受け入れている、つまり広い範囲から知恵の提供を受ける必要がほとんどなかった…。
ジュリアーノ
そしてもしも、これらの隠れた神々が、天から最も遠い存在であるなら、人の姿として現に存在しているものなのか、つまり動物たちの姿として…
言い換えれば、人や獣の中に混在している様にそれは見えるのか…
それらを所有していると暗示され、自然界の卓越した力の知識やその扱いに抱かれている…、その様な力が与えられているということなのか?
そこに見えるのは、新たなものの見方だった、書かれたこともあらかじめ言葉にされることも決してなかった…
時に私は、その地球の磁気と人間の肉体の関係についてを語った;…
ということでそれは、月のシンボル(それらの呼び名全ては、エジプト・古代バビロニアのカルデア・ギリシア・ラテン諸国では何を必要としていたか…それは常に月 である)、魔術の中に残ったものはその象徴である変化変容、常に電気や磁気と関係するものを含み、地球の自然界に影響を与えている:…
増加し減少し植物や動物の命に;高く低く潮の干満に;…
植物や人間の物質の動き、神経系・夢・眠り、エネルギーの盛衰や天体の軌道、生きとし生ける者たちのその知恵や魂へと、それは及んでいる…。
科学者
それは、デリケートで深遠な味わいを与えるファンタジー、あなた方の探求が明らかにしたこと、創造主としての神へと編み込まれた自然界の様々な力…
いつもの様にまとめられる漠然とした印象のものではない…
しかしそれは、聖職者たちが思慮した批評やテストを通過した情報でありシンボル、神聖なるもの…。
ジュリアーノ
あまり本道から外れないようにしましょう。
私たちの話には根っこがあり、全てに通じる機会を得ているのです;…
私たちの会話は、この今日へと開かれているのです。
あなた方は覚えているはずです…
私たちは、今現在へとこの課題について精査を始めたこと…
それは、様々な哲学の石 であり、長々とした会話を交わして来たということ…
それは友よ、私にはあなた方が良く理解するという成果をあげる必要があるからで、私たち学派のどこか欠落したひ弱な精神ではなく、人が最初に感じる何ものか・私たちの精神というものであり、今現在へと守り育てられ究明されて来た道理や分別として対置されるもので、その中にある課題であったということ…。
あなた方は忍耐強い。
サトゥルヌスは、温かく情け深く、私たちが言葉にすることに必要な時間を与えているもの…
あなた方は、それを知らなければならない…
つまりあなた方は、批判的である必要はなく、また教える立場である必要もないということなんです。
それゆえ私はあなた方に、石と言うこのシンボルの解釈・推測に基づく意見を言っていたのです…
そしてそれは、もしもそれらが元となり熱狂ではなくこれらの研究をあなた方が正当に証明できれば、純粋繊細なる何かの香りとしてそれを感じることができる様になるかもしれない。
それらは砕け散った破片、空気や雰囲気へと変化できるものであり、ライモンド・ルッロに影響したのだった…
陰鬱な時代の中世に、その最初の種は芽生え始めていた…
それは、医療としての哲学、2世紀後のパラケルサスに始まる偉大なる何かへと受け継がれたに違いない …
ライプニッツには、その医術者(*訳注* パラケルサスのこと)・他の全ての医者たちからは狂気じみた者と見られた者、以上に、彼が優れた人物のように思えたのだった。
そうした時代に影響を与えたあのマジョルカ人(*訳注* ライモンド・ルッロのこと)は、その宗教の影響力域全てによって心を動かされ、そのイデア・理想としての統一体はこの世界の住人たちであり唯一の神、つまり最高執行役という魅惑的な夢であるとのそんな幻影を刺激していた…
それは偉大なる精神の力であり、天に在 ( ましま ) す神さまという呼び名の何か、人々はこの地上活動全域の王国としてそれを築き上げようと欲していた…。
(*訳注* ライプニッツ 1646-1716 ドイツの哲学者・数学者、法学・神学・力学・論理学など多分野にわたり業績をあげ、外交官・技術者としても活躍。ニュートンとは別に微積分法を発見し記号論理計算法を創始した、形而上哲学では、宇宙は不可分の単純独立実体の非物質的本性を持つモナドから成り、神によってこれが調和へと向かうよう定められているとのモナド論・単子論を主張した…、これは現代物理学域の量子論:プランク振動の持つ単位的エネルギーと関係があるのか…、多分それ以上のものだろうが…)
科学者
おお! この優れた狂気のパラケルサスにちょっと留まり触れたことは、良かった…。
ジュリアーノ
それ以上を望むのですか? また脇道にそれるのですか?
あなた方は、何事かに情熱を傾けると、すぐ他の事を詮索したがる!
必要なのは、その知識を広げその無限の広がり、この偉大で神秘的な人のスピリトの物語それ自体であり、そこに刻み込まれている全てこそ、私たちの無情が欲し必要な労力を傾けようと一生懸命になり気概を持って歩もうとするもの、人類により良きものとして映 ( うつ ) るすぐにでも手に入れたいもの・誘惑するもの、そしてそれは複雑に絡み合い、多くの斬新な物事を必要とし容易には開かない、それ以上にそれは常に自然界によって遠ざけられている…
その何かこそ、バジリオ・ヴァレンティノのアルケーオ/太古のまたその大元 、その原理であり限りある命というものであり、生きることを要求するもの、そしてその喜びを賛美する時こそがあらゆる体験であり、それは愛の内にあり、人を愛すること、つまりはあなた方は、物事を創造しているということ。
全ての博学者たち、13世紀の終わりごろ、ダンテが生きていた時代、そして彼は「神曲」を著作した、それは哲学においてもその名を馳せていた、民衆の混乱の中、その様な錬金術師たちは信じられたのだった;…
しかし錬金術に与えられたものは皆が求める何か・そこに限定される技 ( わざ ) ・俗っぽく卑しい人間をスーパーマンへと変貌させるもの…、言い換えればそれは、金の価値を色んな金属へとおとしめるものであった…
あなた方は素晴らしい、もしかするとあなた方は、再認識するその方法を私に示すことに成功するかもしれない…
その歴史を通して誰が本当の錬金術師で、そして実体のない名声を得たのは誰か、と…。
科学者
あなた方は提言される…
つまりそれは、多くの驚くべき物語に信用を与えるということではなく、人々が賞賛する著作物の中味で価値があるとされたもの…
金を創ったとかその石/ピエトゥラ を得たということでしょうか?
フラメル、トレヴィザーノ、ルペシッサ(*訳注* Wikipediaより ルペシッサは、14世紀のフランス王国の神学者・預言者・錬金術師。数多くの預言に満ちた書物を書いた罪で14世紀なかばに獄死した) 、フィラレーテらは、その同じ騒動の中にあったということでしょうか?
ジュリアーノ
私の経験、その長きに渡る実践・錬金術師たちについての何世紀にも及ぶ知的探究、私は用心深くそれをし、またそのような人類の自慢には懐疑的でした。
なぜならその様な寓話や比喩では、それは教えではなく、ゲームの様にプレーする人の記憶として結びつく何かで、そしてそこで語られている事、つまりそこで創られているものは、大海のまっただ中のどっちとも取れる内容のもの…。
ライモンド・ルッロはそれを創造したが、そこに到達 はしなかった、扉を開き言葉の上ではその何かに達しはしたが、それがこの錬金術というものであるのかどうか…?
同様の問いをしているのが、フラメルでありその他の人たちも…。
イレネオ・フィラレーテ にとって、それはペンネームとしての著作であった(*訳注* 本名は ジョージ・スターキー 1628-1665)…
その事で私にとってそれ(*訳注* この課題に対する疑念)は、在り得ること、少なくともそう思うのです。
彼は作家として、明らかになっていないこと全てに対して用心深い…。
コルネリオ・アグリッパ(*訳注* 1486-1535 16世紀ルネサンス期ドイツの魔術師・人文主義者・神学者・法律家・軍人・医師)の様に世界を敵にし、友人や多くの守ってくれる人たちの信頼を失う様なことは、彼にはできなかった…
そんな訳で彼は、魔術に関する著作をしていた、つまりむやみな使用については疑問を持っていた…。
私は、自分の意見に固執する様なことはない…
その事で私は一度ある友人にたずねた…
彼は錬金術のことに関して良く知っていて、いつだったか彼が亡くなった…
科学者
本物の錬金術師ですか?
その様な人たちは、変容についての何かを知ってるんでしょうか?
ジュリアーノ
本物の資質を持った人ですが、しかしこの人間世界では大変不評な名前の人物として置き去りにされてます!
科学者
イタリア人ですか?
ジュリアーノ
生粋のイタリア人です。
私は、その人の名前はまだ言いたくはありません…
なぜなら彼は、私をよく笑って見ていました…
彼が生きている時、こうしたことに関し、良からぬことを私は書いていました…
その様な多くの事で人生をだいなしにしている;そんな下賤 ( げせん ) な人間性を私は恥じている…
科学者
錬金術師そしてエゴイスト。
ジュリアーノ
エゴイスト、なぜですか?
科学者
なぜなら科学は、万人の糧であり、科学的にそれを理解した人は誰もいない・何かの新たな探求を明らかにする実験事実はひとつもない…
それを総合すれば、彼はそれを探し求める人たちに隠しているに違いない…。
アレッサンドロ・ヴォルタ(*訳注* 自然哲学者・物理学者、ボルタ電池の発明者)、ギリェルモ・マルコーニ、エジソン、キュリーら多くの人たちは、人類に何ひとつ隠し立てはせず、その科学研究の結果を公表している、そしてそれが人類に役立っている…。
ひとりの錬金術師が得た結論、言い換えればそれは工房での古びた鉄から金を創造したということ、あるいは何て事のない凡人が神聖な人へと変化したってこと…
それは全ての人たちへ伝えられ認識されなければならないこと…
なぜなら私たちは皆兄弟同胞であり、進歩の為に学ぶ権利を持っている…
つまりそれは、人間社会の病を克服し雑多な感情や思想的混乱を鎮めること。
それこそが科学であり、全ての人たちの財産、つまりそれは、この様に全ての人たちの幸福へと収束するに違いないのです…。
ジュリアーノ
おお!あなた方は、分かってらっしゃる!
私もこれはそう思います。
私たちは、愚かなその脳みそで何とかしようとするがさつ者・善良な天使になろうとしているのか?
そしてなぜその方法を万人に教えようとしないのか?
それをあなた方に隠す、そうするのは原点に戻り再構成する為に最もやり易い…。
それはけちな出し惜しみをする為ではなく、そうして他の人たちの苦悩や窮乏を埋め合わせる…。
そうであれば、あなた方が提言されていること、そしてこれに私も賛同賞賛する…
その事こそ科学というものか…?
それは、人間の知的財産として利用されるようになった何か、全てそれらは生命の偶然性にあるもの…
地上の生きとし生ける者たちの形ある肉体的な喜びの為。
ヴォルタはそれを電気の光として、マルコーニは無線電信として与えた;…
なぜ彼ら錬金術師がそれら探求の結果をアカデミックに軽率にべらべらとしゃべらなければならないのか?…
それは、独り歩きするもの;…
それ自体は何も知らないということ…
科学に貧しき人たちの為に人はその食堂で豪華な食事を用意しなければならないわけではないということ…
科学(*訳注* 人間が真理を実感するということ)は、人類にとっては汲めども尽きない偉大な豊かさなのです!
科学者
あなた方が本気で言っていることは、私と同じだということですか?
ジュリアーノ
私が嘘を言っているとでも?
人は誰もこの錬金術師の素質を内に秘めていてその我に立ち返る…
それは、錯綜し入り組んだ錬金術の糸の端っこを手にしたということであり、その原理が分かりやすく解釈されしっかりと説明される、また人は皆その財産を持っているということ…。
それは、誰も拒絶できない真実であり、誰ひとりその事を知らない…
扉が開き錬金術の集散地・素晴らしいその市場に正に人は立ち入ろうとしているということ。
科学者
ところで、ちょっと前おっしゃいましたよね、本物のその錬金術師を知っている、生粋のイタリア人で今は亡きその人物は生前ほとんどを出し惜しみし秘密にしていたと…
そしてそれは、あなた方が広く知らしめようとしているこの様な特殊な哲学が一般大衆の為だという事を認めていなかった…
一見してそれは、何かちょっと狂っている・あるいは人にとってそれは何か白日夢の様で狂気そのものであると…。
ジュリアーノ
この友人はその様な人物ではありません…
なぜなら錬金術師ではあるが過ぎ去りし時代の人々の内のひとりであり、そこからはすでにもう何世紀も過ぎている、その様な人たちは科学によってちょっとばかり解放され、私たちによって批評されている訳で、その様な宗教的理屈の軌道からはどの道解放されなければならない。
良く理解していただきたいのですが、最良の友よ、その何かは最初の教育で刻印され形成された特徴や性格でキャンセルされていないもの…。
無駄なことはしない様にと教育されたもの、遥か何世紀にも渡りそれは歩み続けた行為や言葉たち、その節約術だった。
科学者
新しい言い回しで私を困惑させないでください!
何をおっしゃりたいんですか、それは幾世紀を越え歩いた?…
この生粋のイタリア人錬金術師は存在してはいたが、伝説のヒーローの様で、この様な人たちは現実離れした宗教的物語として理解される死者たちですか?…
ジュリアーノ
もしあなた方が説明を必要とするのなら、それをご説明します、そして私が最終的に信じている全てを包み隠さずここであなた方に打ち明け、完全に納得するようにいたしましょう…
それは、彼らはこの学びの結果・その知恵を持って何かを人類へと提供しているということ…。
彼らは悔いているということ…、何かを得たが何も与えることがなかった!と。
それは人類にとっての良きこと、ほんのわずかな人たちの知的進歩・汲めども尽きない泉がそこにあり、何かの卓越がそこに存在している…、それらは有益、本質的な要素の働きや新発見の何かであるということ。
それは私が言っている事…、私が言いたいのは皆が信じている事で、もしあなた方が私に背を向け同様にそれを紋切り型に繰り返すことがなければ、それはとげとげしい批判だろうが私の発言や考えへの侮辱だろうが、尊重はほぼないという事…、これは魔術的には伝統である。
そんな錬金術師たちの真実、そこにあるものは状態であるに違いなく、つまりそれがそこに存在している、そうでないとは言えない。
白日のもと全てそれらは意識現象であり在り得る事:私たちが認識している事、疑いやその他の信じていない何かであり気づいていない物事;しかしこれは真実だとも言える…、私はその理解の仕方は知らないしそんな驚異の不思議物語がどうなのかは分からない…、これがその友人が私に言ったこと…。
彼が言っていたのは、全てその様な錬金術師たちが言っていたに違いないことでそれが俗世であり様々な世紀の中味、色んな言葉・時代、ユーノー神(*訳注*ローマ神話で光と結婚の女神、ユピテルの妻でギリシア神話のヘラに当たる)が産み出したこの世界の状態である;…
これこそどこでも人が考えている事であり、古代から記されて来た書物の中味、言葉・言い回し・記憶…、私が耳にした私の個人的その友人の生き生きとした声の、人々が耳を傾けているかもしれない何事かの中味です。
この私に言っていたことは、大衆の中で魔術やヘルメティズムを哲学的に考察するのにはふさわしいことではない…
なぜなら、学ぶ者たちにとってそれは狂気であり、そこで自分に与えられるものではなく人々にも適切ではない…
パンは一口では食べれないし、安楽なものでも夢見るものでもないから、ということ。
それは私にイレネオ・フィラレーテを思い起こさせた…
彼がその著書イントロイタス (*訳注* 開かれた扉の意)の中で語り明らかにしたことは、「金」の製造は思慮深く正しくなされなければならないもので、それは民衆の理性に託されているということ…
その様式こそ私たちがたどり着いているところ、そこには多くの貴金属があり、その港には一隻の船も到着したことがなくその船長とてそれを表現する術 ( すべ ) がなかったかもしれない…。
その友フィラレーテが主張したかったのは、その船長はそこで何事かを言ってもよかった…
「金」ではないにせよ誰も説明できなかったその真実を、まさに「金」の様な何かとして、例え説明になっていなくとも…
盗賊や人殺しの様な例えをしてでも…。
私が自分の著作を始めようとしていた時彼は私に指摘していた…
私は彼の考えは古いと非難していた、すると全てが危なっかしいものとなり、そして続いてその論点の様式はイントロイタス のそれとなり、私は彼を思い出していた…
それは過ぎ去りし幾世紀の現実とはかけ離れたものになっていた…
そこでこの「金」は鋳造され全ての国民たちへと流通した、そしてそれが貨幣や何千リラもの紙幣・人々が銀行の窓越しに手にするものとなっていた…。
そしてそれは、認識され「金」として象徴化された…
私はその何かが時を巡り宗教によって支配されているのを見守っているということ…
それは真実であり哲学、恐れる何か叱責する何かではなく盗むものでもない…。
あなた方は私に言っていました…
あなた方は時代のメンタリティーと共に生きているがそれは私たちのものではないと、時代遅れを心配しながら…
それらは、現代教育にも現在の教養にも適合するものではない…。
彼は満面の笑みで笑っていた、その顔は輝き静かな知性を見せ私を扇動する様に反応していた:…
元々私は過ちを犯していた…
なぜなら私は何世紀も前のその光を見たのだが、その時にはこの様なことはなかった…
しかしその真実は同様に存在していたのです 。
その時から私は最終的に自分を見失うことはなく、ヘルメスの様に言える…
私の何かは存在していたし将来も存在する、と…
それは女性の子宮から生まれるものではなく、しかし物的肉体を変化変容させ再生させる…
古い私の人格や容姿を大切に守ろうとしている、と…
それが私のアイデンティティー・素性というもの、つまり純粋にその同一性を保とうとしているもの・おおよそ外見的その姿を保ちつつ変化させ神聖ではなかった何かを告げることがないもの…
それは私が考えた何か、つまりは私が考えている何か、私が人類の歴史と呼ばれるものの中で考え理解した何事かかもしれない…
もし人々がそれを私に望んだのなら、歴史の中にそれは埋もれくすぶっているものかもしれないし、称賛されるものかもしれない… 。
あなた方が見ている何かは、その私の経験であり更に昔のあなた方のもの…
なぜならあなた方は新たな魂として存在しているのではなく、皆私が知る古い人格や容姿であるということ…
しかしあなた方それぞれは、元々は母親の子宮の真っ暗な幽界からその血を受け継いで再生している、そして過去の記憶・あなた方が持っていたその意識の存在しない忘却のレテ川を通って、光へと戻って来た…
結果的にそれは、本能的な傾向のもので古い活動性を帯びる何か、あなた方の中に「好意や親愛の情としてのみ存続するもの」で、言い換えればすでに体験された命の素質や持って生まれた才能・姿勢や態度という何かである… 。
そして私はそれを聞いている…、信じる、信じないと迷いながら…。
つまり私は考えていた、不安に震えながら:…
哀れで大切な友よ、時代の変化をまじまじと見ることは多分ないでしょう?
それが私をからかってるのでしょうか?
それで私は疑問でいっぱいになる:…
もしもトーマス・アキナスやピーコ・デッラ・ミランドラ、ボッリ、フィラレーテ、ルペシッサ、トゥルバ・フィロソフォルム(*訳注* 哲学集) に記された人たちが錬金術師だったなら、彼らは思いもよらない秘密を再発見する必要はないはず…
大いなる謎はその人物を永遠なる神の化身のアヴァター にする事ができる…
それはインドの人たちが言っている様なことで、肉体組織を変え身体に入り込むことでのみより若い若者へと変化させるものなのか?
また反対にこれが全て脳のロマンティックな作り話で、何かが信じる現実の深い深い所で信じがたい特別な夢として生き現存しているかもしれないという事なのか?
科学者
私は、あなた方の真摯な芸術的形式で提供された言葉のそれを信じて良いかどうか分かりません。
私たちがお互い顔を突き合わせているというのは奇妙なことで、それは私の必要から生じ提供され解釈上の疑問へと落ち着いた…
何かが自分につながり関心事の推測と結びついているが、それは何かが解決されるというものではなかった…。
私は常に積極的批評家としてやって来ました…
それは教育として受けたもの・冷静に審査し対処すること、自分の関わっている魔術の探求では、それが推測の領域内であることは分かっています…
そのイマジネーションでは、疑いようもなく問題が広がり、分離して明確に表現するということは、私の様に学んだ者にとっては自分を笑いものにすることです。
その様な嫌疑は、疑い深い解説者としてのあなた方が落ち着いて明らかにした事ではあるのですが驚くべき事…
私をとらえ魅惑しています…
そしてふたつの内なる声を聞きました。
まず叫んだのは:こいつがもし技 ( わざ ) のマエストロならだましてんだよ 。
その次に付け加わったのは:いやいや、良く見ろよ彼は率直でお前の心が語る様に正直だぜ!どいつを信じる ?
最初は否定し、その次のはさあさあと誘い込んでいるのか?
ピタゴラスの哲学にも染まった、私はそれらふたつの対立を理解できないですが、私は何を決めれるのか:神のみぞ知る …。
ジュリアーノ
そんなに私を見つめないでください。
あなた方がどう信じるかは自由です…
他の人にはどうする事もできない…。
結局私があなた方にこの見方を強いることはできないし、もっと深い部分についてもそう…
私があなた方に正確な解釈を与えているかどうかは分からないのです。
そこには疑問があるということを理解してください…
どれ程並外れ普通でないのか、それらははっきりしない領域に在り、空中を漂う風船の様、何か基準となる方向性が不足している…
あなた方が妥協できるか、良識的に理解できるかどうかということです。
科学者
あなた方は断言も否定もしていない、そしてそれが私には誠実に思える。
ジュリアーノ
つまり私はそうあらねばならない…
なぜなら魔術の根本教義は私たちにそれを教えていて、それが物事を知る事であり本質でもある、それは力強い表現形式で物事それ自体が存在するために必要なのです。
私が言っていることもあの錬金術師の存在のことで、彼は多くの事を私に語りましたがそれは理解の為であり、すなわちその物事が存在するのか存在しないのかということ…。
科学者
この点で私もあなた方と同じ事を感じていると率直に言いたい。
私に対処しているあなた方は、ヘルメス学派の創設者の様で、私は納得していました…
それは私があなた方に投げかける全ての疑問に肯定的に答えていたこと、認識や知識が実践的で分別あるものであったこと;…
と言うより私が気づくべきは、ある種の問題点についてであり、あなた方も探求している領域である…。
言うなればそれは、多くの部分であなた方の記した著作の中で読んだこと、あなた方が信じるある錬金術師のことなどで、あなた方にとってのその錬金術師については何も言わなかったということ!
ジュリアーノ
ゆっくり行きましょう;…
私は、あなた方に嘘を言って否定しているかもしれない…。
私はひとりでこれらの事に50年を捧げ実践 し研究してきました。
それは人がこの種の何事かを分析しテストしその研究に着手し、実際にそれを行い可能にするというものではなかったのです。
私は探し求め、熟考し実際的結果として抽出できるよう様々に試しました…
しかしながら、にもかかわらず、確かな理解いかなる結果にも満足を与えるものではなかった…。
一方あなた方はその事に関してもっとそう感じてらっしゃる…
なぜなら私があなた方に科学的真実を何も提供していないからで、つまり立証以前に、世界の全ての科学者たちへある種の革新的同意としての何物をも示し得ていないということがある…。
あなた方には何も言っていない、もっと言うなら全く率直に、それぞれの科学的その発見は世界の全ての研究者たちの財産でなければならないのか?
科学者
あなた方が理解しているのは幻想ではなくもっと完全なもの、いずれにせよ全てのおしゃべりでネガティブな反応の返答はなかった:…
錬金術師たちの根拠なき主張は、ひとつもない…。
あなた方の中にあるのは、基本的原理であり、言うなればそれは、純粋なる神秘主義、ずっと探している発見へのその鍵となり得るもの、古くからの錬金術へのその扉を開ける何か…。
そして、事実としてあなた方がやろうとしている事は、つまり実験でそれ以外ではない…
なぜならあなた方は、これ以外には何も言及していないからです。
ジュリアーノ
どれ程時間がかかろうと変わらない、どの道私の言う素晴らしいある種の成果へと近づくことになると私は言える。
それらに足りないのは様々な要素、それらの何かが、言及した様に正に科学的法則を形成し作り上げる…、ある種の認知の場あるいは相応の優れた科学アカデミーの声明として…
しかしそれは、何ものをも制限するものではない、それについては次回ここでお話しすることになりますが、その実際解釈を新たに真摯に続けましょう…
それらは他の人たちが記したこと、そしてそれを私がどう信じその形成に接近して行ったのかに言及します…
それにはカトリックの医療 ・言い換えれば普遍的な医療法 もあり、それは現代医療へとその方向を変えることのできるもの、その様な初歩的な知識を通じて、私は会派のつまりヘルメス医療の確かな経験を提供できると考えたのです。
科学者
分かりました、何時ですか、あなた方にとって続けるのは大変なことですが、できるだけ早くお目にかかりたいです…
でもその前にそのままにされている事をお尋ねしたいのですが、お願いです、いつの間にか消えたあの言及された生粋のイタリア人錬金術師の名前を、作り話なのか本当なのか分かりませんが…。
ジュリアーノ
それについては次回言及致しましょう、名前を言えるかもしれません。
あなた方にそれを明かせると信じています…
彼の様々な研究成果を明らかにしたいと思います。
しかし彼は難解な山積みの手記を後継者を私に指名し託しました、そこには文字や図解のデザイン・古代エジプトの象形文字などがびっしり描き込まれています…
多分それらは私に解明への鍵として与えたのでしょうが、それは全てではないかもしれない…
ですが少なくともカトリック的な医療 を構成するものとして、その一端については少しだけあなた方に今回お話しはしました;…
もしそれが私を何も制限するものでなければ、その遺言について、あなた方の精査の為にご提供できるでしょう、文書やデザインについても…。
科学者
できるだけ早く、ヘルメティズムの色んな課題の中のこの主要課題と言うべきものについて、徹底究明することができますか?
ジュリアーノ
ご理解ください、私たちは満月のもとに在ります、それは遠い先の事ではありません。
あなた方は最初新月の日、私に会いにやって来ました。
その夜、サトゥルヌスは不在でした…。
対話その7 完
時間は存在しない 理論物理学者 カルロ・ロヴェッリの講演
VIDEO
日本語版ビデオ / 日本語訳はこちら
紀元前、最初の哲学者のひとりと目されるアナクシマンドロス(紀元前600年頃)は世界実体の原因を「アペイロン」と呼んだ。
ピタゴラスはその弟子と言われ、彼は南イタリアの地へと追放され、その地で断食によって命を終えたと伝えられている(諸説あり)…。
アナクシマンドロスの流れをくむひとりが、原子論を唱えたデモクリトスである。
それから二千数百年の時を超え、現科学哲学者・物理学者であるカルロ・ロヴェッリはこの「アペイロン」を、「共変的量子場」と呼び、それがこのマクロ&ミクロのコズモ(宇宙)を包み込んでいると主張している…
彼の主張/推測は、こうである…、共変的量子場は量子重力場として数学的に記述され、ミクロ&マクロに作用し万物はそこから生じる《A:アペイロン》 …。
アペイロン:日本語版ビデオの 13:20~13:40 あたりの解説参照
主なる神は、土のちりで人を造り、その鼻に命の息を吹き入れられた。
そこで人は生ける魂となった。
DALLA OCCULTA SAPIENZA SALOMONICA
ソロモン王の神秘の知恵
L'occulta Sapienza Salomonica è la Sapienza Regia o Magia. Salomone è il Re d’Israele; Salomone è l’uomo di pace, cioè il perfetto nel mondo dei prediletti di Dio.
ソロモンの神智は、王宮の知恵、つまりは魔術・不思議なる技。 ソロモンはイスラエルの王;ソロモンは平和完全なる人間、神に愛されし人。
L’adattazione Salomonica, cioè dell’uomo sovrano sul popolo dei prediletti, è nella Giustizia. L’uomo giusto, cioè della giustizia divina incarnata nel temperamento umano di un adoratore della VOLONTA' INTELLIGENTE, è solo atto a studiare la Scienza del Bene e del Male.
それはソロモンの知恵の道、彼は民たちと共にありて神に愛されし気高き人、彼は民たちの正義と共にあり。彼は正しき人、神聖なる正義の化身、その者の資質は尊敬と親しみにして望むは深き理解の知恵、それは真実のみぞ知る、善と悪の本質をぞ知る。
Prima di intraprendere a praticare lo studio di questa Scienza che avvicina o allontana l’uomo dalla VOLONTA' INTELLIGENTE (*訳注* 知恵と一体になった意志 )pensaci settantasette volte, perché come il Bene, le tue azioni che producono
il Male sono incancellabili ed indistruttibili, fino a quando tu non avrai
pagato il tuo misfatto.
まずはこの知恵を得てその誠を為すは、よくよく考え奥深き知恵に近づかんと七十七回行きつ離れつする当人の望み、なんとなればそれこそが善、人の行いは何を為すや、悪なる行いは消し去ることは出来ぬ、また破壊できるものでもなし、汝がそのその行いを償うるその時まで…。
Per applicare il Bene ed impedire il Male, bisogna sapere l’uno e l’altro, imperciocché dice il filosofo che ogni rosa è circondata di spine e ogni Bene da Male, così tu ti opporrai con la conoscenza di questa Arte sempre al Male per impedire che il Bene venga sopraffatto.
善に和し悪を為さざるは、自と他を知るべし、人はそれを真の知恵と言う、それゆえひとりひとりの心はとげある薔薇の花、悪しきを和するるが善、しかして汝は悪を為さざるを常としこの真智の業 ( わざ ) にて処する、それこそが為したるを凌駕する善である。
Si intende per Bene tutto ciò che avvia il nostro simile a noi stessi secondo le finalità delle cause prime della Mente Divina. Bene è l’altruismo.
Bene è l’amore del proprio simile e di tutte le creature perfettibili. Bene è Dio, l’Universo e l’Umanità.
人は善を為する、まさにそれこそが我らの道、我ら自身の聖なる知恵の力、それこそが大元それこそが意の極み。 善は他者を愛す。 善は愛すること、まさにまさに、天地万物は完全を創造する力そのもの…。善は神さまにして万物、それはまた人の道なり。
Tutto ciò che è separazione è Male. Male è l'egoismo che separa il fratello dal fratello, che impone la volontà del perverso al Buono, che distrugge le buone opere e le buone azioni.
その何かが全く分かれていること、それが悪。 悪は自分本位のエゴイズム、その何かが兄弟同士を引き裂く、何かが善へと邪悪な意志を差しはさむ、何かが良き働きと善き行いを害している…。
L'uomo di BENE deve avere sempre il cuore spoglio dalle basse e vili passioni umane, essere mondo dall'odio, avere l'occhio senza invidia, la bocca senza malvagità, la mente senza menzogna.
善人は、いつも下劣なまた卑怯な人の心・憎しみの世界という存在を取り除かねばならぬ、ねたみやしっとの目を持たず、悪事を口にせず、それこそうそ偽りなき心。
Se questo tu pratichi Dio è con te, l'albero della Verità ti porge i suoi rami e tu mangerai i suoi frutti e perfezionerai te stesso. Se così non sei preparato ogni frutto dell'albero della Scienza sarà velenoso e amaro e tu gitterai tante lagrime per quanto è maggiore il tuo ardimento e se insisti avrai firmato la tua sentenza di eterna condanna nell'eterna dissoluzione di spirito e di carne.
もしやこれこそが汝の友なる実の神か、その真実の枝々は汝の小枝にしてその実を食す、それこそ完全なる君 ( きみ ) 。 さすれば汝はその木の実として造られた毒の苦い知恵に成ることあたわず、そして多くの涙を流すほどに大なる勇気ある行いを為し永遠に意味のある言葉を刻印することになるであろう、その魂と肉の内に…。
Bada inoltre a non credere che il Bene sia sempre ciò che piace ai sensi; spesso il Bene è il Dolore e l’azione benefica è un martirio, come la redenzione è uno spasimo infinito.
ずっと気をつけなさい、良きものが永遠だとは信じない様に、その喜びの情には;…
度々善なるものは痛み、その有益なる行いは献身にして罪の浄化、永遠に続くもだえでもある。
Prima di procedere oltre studia queste parole dei libri sacri occulti e imparerai a soffrire, se vuoi godere e a godere delle sofferenze se vuoi innalzarti a Dio.
秘密の神聖なる書のこの様な言葉を探し求め超え行くその前に、つまり汝が忍耐を学ぼうとするのなら、汝らは心から満足するであろう、そしてそれら苦労も心に神を呼び起し、そこに恵みを得ることになるだろう。
Questa è la Fonte della Verità.
これこそが真実の泉である。
J.M. Kremmerz
J.M. クレンメルツ
鎮魂歌
古来からシャーマンたちは、それを内なる静寂と呼んできた…
それは状態であり、五感に依存しない知覚、人の特別な能力である。
その力は魔術的存在、心の鎮まりとして立ち現れる…
それはその人自身の存在からではなく、その外からやって来る何ものかである。
カルロス・カスタネダ
もしその目を開き分別を得んと欲するのなら、為さねばならぬ、今ここで、ぐずぐずしてはならぬ。
悟りとは己の本源に向かうこと、その道を前進する以外ない、日々問い続けるのみ…
道元禅師
自分を大切にし人を敬う、それは深い深い思いやり
それは感謝の情けそのもの、全ての人を導きゆく、いわんや戦う者たちも…
そこには静寂があり、かの者たちは幾世紀を越えそれを手にした
それは炎の光、そこには不可思議なこの地上世界が…
汝らがどこにいようと、汝らがどこへ行こうと
満ち溢るるはその光、どんな時も汝らを照らさん…
作者不詳
第9話までご紹介してまいります。
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